昔話を一つ。
金融関係の会社員をしていたころの思い出話です。
当時、開店したばかりの松江支店の支店長の中村氏のファッションは、
仕事中はボタンダウンのシャツ、
オフタイムはVANのトレーナーにジーンズ。
これ以外の服装は見たことがありません。
実は中村氏はヴァンヂャケットの元社員。
VANが倒産し失業、金融関係のその会社に就職されたのでした。
だからといって、
『VANしか着なくてもいいんじゃない?』
と思っていたのですが。
先日、神戸ファッション美術館の展示会
「日本の男服」を見て、なぜ中村氏がVANしか着なかったのか、
ちょっとわかったように思いました。
1960年代、VANと石津謙介氏が日本にもたらしたものは、
単なる「装い」ではなく
今の日本の「文化」の一つなのだから。
戦争が終わり、豊かさを実感し、
価値観が大きく変わっていった60年代。
10代半ばだった中村氏の目にVANは
きらきらと輝いて見えたことでしょう。
VANが倒産し、離れることになっても
VANに対する思いは変わることなく。
展示会に行ったその日、
早速中村氏に展示会のことをお知らせしたところ、
展示会のことはご存知なかったようで、とても喜んでいただきました。
ヴァンヂャケットの元社員たちは、
還暦を超えた今もVANを愛し、時折集まっていらっしゃるようです。
2011年の石津氏生誕100年記念には東京のパーティにも行かれたそう。
VANと石津氏と若者たちが作った1960年代。
ちょっと憧れます。
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(in 松江)