【本】 恐るべき旅路

やっと謎が解けました。

8月のNHKTVで観た川口プロジェクトマネージャーの言葉
「『のぞみ』のことがあったから、諦めたくなかった」

不覚にもBeltaは、
火星探査機「のぞみ」は火星に到着しなかった、
程度のことしか知りませんでした。

そこで、この本を読んでみました。

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―

報道では、「たどり着けず、失敗」と簡単に表現されてしまうのですが、
そんな簡単なものではありません。

第一、惑星探査機はどこにも売っていないので、
設計、作る、というところから始まるのです。

しかもそこに立ちはだかるのが「予算」の問題。

アメリカのように予算にものを言わせて、
大きな探査機を大きなロケットで打ち上げることができればいいのですが、
日本はそうはいかないのです。

惑星探査機の打ち上げには、
探査機だけでなく、燃料も一緒に打ち上げることになります。

となると、探査機本体はとにかく軽く、軽く。
パーツ一つ、搭載するセンサー一つ一つの重量を見直していきます。

あと23kgの減量でOKのところまで来て、
部品の関係で、さらなる減量を要求され、絶体絶命。
このあたりは、あしたのジョーの減量シーンを思わせるくらい。

そこに登場するのが、川口淳一郞教授です。

パワーで火星に行くことが難しいのなら、
地球や月の力を借りて(スイングバイ)で、
火星に到達する軌道を見つければいい。

川口氏たち「軌道屋」と呼ばれる方々の計算が始まります。

そして芸術的とも言える軌道を見つけるのです。
「軌道の魔術師」の名前の由来です。
度重なるトラブルのたびに、川口氏は登場し、軌道を計算します。

最後の最後まで、川口氏は諦めず軌道を求めます。

結局、太陽フレアの影響で、
のぞみからの通信ができなくなり、
取り決めに従い、プロジェクトは打ち切りとなってしまうのですが。

取り決めとは、
「滅菌していない人工物は打ち上げ後20年以内に
 火星に落ちる確率を1%以内に抑える」

計算の結果、確率が1%を少し超えることになるらしいです。

もし、この取り決めが無ければ…
または、もう数日粘れれば…

のぞみは火星まで到着していたはず。

そこまで行っていたのに。

その悔しさ(たぶん、悲しさも)が
はやぶさに託され、川口氏の言葉となったのでしょう。

日本の惑星探査、宇宙開発の実態、
科学者達の挑戦を知る良い本だと思います。

最後に、のぞみの打ち上げを見ることなく亡くなられた
山本達人教授のご冥福を心からお祈りいたします。

【余談】
アメリカの木星探査機「ガリレオ」は、
地球の微生物で衛星エウロパを汚染させる可能性があったため、
木星に突入して運用を終えました。

ガリレオは原子力電池、プルトニウム搭載でした。

いいのか?

(in 大阪)


<松江>

9月5日(日) 大人の塗り絵はアーティスティックにワークショップ(終了)
9月24日(金) 平日ゆっくり学ぶイメージコンサルティング
9月26日(日) NLP講座 セラピストのためのNLP

<大阪>
9月11日(土) イベント「姫コラソンvol2」に参加(終了)
9月18日(土)大人の塗り絵はアーティスティックにワークショップ(終了)
9月20日(月・祝) NLP講座 セラピストのためのNLP

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です